COMPUTING
フォトニックAIコンピューティング
フォトニックAIコンピューティングとその応用
昨今の人工知能(AI)・機械学習の急速な進展により、コンピューティングの需要が爆発的に増大するとともにその要求水準も劇的に変化しています。一方、半導体電子回路の技術進歩を表すムーアの法則がそろそろ終焉を迎えつつあると言われており,ポストムーアの時代を支える新しいコンピューティング技術の出現が望まれています。本研究室では、先端的なフォトニクス技術や機械学習、数理科学の知見を駆使して、光を情報キャリアとしてAI処理を加速する新奇のコンピューティング技術について研究しています。 特に、リザバーコンピューティグと呼ばれる新しいタイプのニューラルネットワークを光回路上に実装する研究に取り組んでいます(図1)。リザバーコンピューティングは、動的システムの複雑さや多様性を利用したコンピューティングであり、従来のニューラルネットと異なり、膨大な学習処理が不要という興味深い特徴があります。光回路上に動的システム(再帰型ニューラルネット)をつくり、光の特徴をいかした超高速かつ低消費電力での演算を可能にします。最近では、リザバーコンピューティングの高性能化やセンシング応用もターゲットにして研究しています。

図2(a)は本研究で開発した光リザバー計算回路の一部です。この光リザバー計算回路を本研究室で開発したランダムパターン投影技術[図2(b)]と組み合わせることで、毎秒10億フレームを超えるレートでの超高速のイメージ認識が可能であることを示しました。これにより、これまで観測できなかった超高速現象をも捉えることができる、新しい高速情報処理技術の開拓を目指しています。なお、これらは学術変革領域A「光の極限性能を生かすフォトニックコンピューティングの創成」の計画研究として実施しています。
